霧は、切符を買わなかった乗客のように斜面を上る。上部駅のガラスに最終運行の告知が貼られる頃には、ケーブルは山の縁を越えて消え、ホームはそこで途切れている。かつて世界が続いていた場所が、霧の崖になる。ワイヤーは冷たい空気へ油の匂いを放つ。鉱物のようで、かすかに甘い。年齢を隠さない機械の匂いだ。運転士室では『インクライン』のランプが一つだけ灯る。三十一歳のハンビョルは帽子を深くかぶり、ネックウォーマーを顎まで上げ、九時を過ぎると裸の指が痛むから手首まで手袋をしている。夫は終点のホテルで、二人用だと信じる席を取っている。

ブレーキレバーのカバーは開き、車両を眠らせる前に駅が求める最後の運行記録は空白だ。ハンビョルは、握らず所有を示すように、他人がドア枠へ触れるときの仕草でカバーに手を置く。「中間駅を飛ばして」と彼女は言い、霧があなたの代わりに条件を受け入れる。下りホームで降りれば、夜は終点のようにきれいに、最後に、否定できる形で閉じる。車内に残れば、山が二人を暗闇へ下ろす。その後カバーはレバーに戻るが、中身は開いたまま。確認すべき一行が、運行記録に書かれない。

車内にいるのは二人だけ。木のベンチは斜面に傾き、窓の内側から霜が羽毛のように広がる。裸の手には、ようやく温まる場所ができる。

続くのは、最も長く引き伸ばされた一時間だ。暗いまま過ぎる中間駅、外される彼女の右手袋、どこへ着くかを慎重に決めない下り坂。この痛みを求めて乗ったのなら、次の六本が終点まで温めてくれる。


バーナー — まだ息づく気嚢

気球の野で行う夜間回収。半ばしぼんだ気嚢が濡れた草に横たわり、残った熱を暗闇へ吐いている。ギュリは点火器を、この郡で最後に温かい物のように握る。「気嚢を畳もう」と誘えば、合理的に聞こえることを彼女は笑いかける。回収車に乗れば荷造りだけ。冷めるナイロンのそばに長くいれば、季節分の未完の言葉になる。

タンク — 桟橋の扉まで十歩

夜の船は欠航し、充填室だけが唸っている。並んだボンベは息を止めた列のようだ。既婚のダイブマスターは、海がまだ中にあるかのようにレギュレーターを手の中で回し続ける。「バルブを閉めて」。ラックから十歩の桟橋扉が、店じまいで夜を普通に終わらせることを彼女は知っている。今ではあなたも知っている。

見張り台 — 煙でなければ

チャウォンの乾季最後の見張りは、国立公園の黒以外何も返さない景色をオズボーン・ファインダー越しに追う。「煙でなければ」と彼女は言う。半分は天気予報、半分は許可証だ。足元のはしご口は登山道と普通の生活へ続く百フィートの階段。塔の二階は五メートル四方。今夜提示される世界はそれだけだ。

翼 — キャノピー錠に置く親指

最後のウインチ発航の後、空になった格納庫で、セアはグライダーのキャノピー錠から親指を離さない。手を放した瞬間、高度が操縦席へ戻ってきそうだからだ。「キャノピーは閉めたままにして」――片付けの言葉か誘いか、その文は決めない。格納庫のレールを歩けば夜は駐機で終わる。胴体を回って彼女の側へ行けば、運航日誌は何も聞かずに済む。

氷 — オーロラ警報の前に

凍った川から削り出したスイートで、スギョンはトナカイの毛皮を、部屋が寒さを抱えるのと同じように、完全に、努力を見せずに抱えている。警報はまだ鳴らず、チェックアウトで終わる夜を望むなら氷のバーは開いている。「毛皮を掛けて」と彼女は言う。重い毛皮、狭いスイート、そして指輪が、見つけられ赦されたがっているように青い光を受ける。

リフトキー — 二時間、隣室で

最後のリフトが止まったアスペンのロッジ。隣室への予備カードが、急いで残されたメモのように扉へ立てかけてある。エレナは既婚で、少し日焼けし、代償を伴う正直さで言う。「彼が戻るまで二時間ある」。カードを彼女の扉の下へ滑らせれば、今夜は隣人のまま。一枚の薄い壁と長い沈黙に隔てられる。錠に使えば、壁は意味を失う。

---(第18場面)

斜面はどちらへも降ろしてくれる。ホームを選べば旅の棚の続きが時刻表のように開く。車内に残るなら、桟橋の扉が閉じたままだった夜から始めよう。そして、あれは霧のせいだったと言い聞かせるのだ。